足し算は内積だ!〜モノの見方を変えよう〜
皆さん、ベクトルの内積の式をご存知ですよね?
(a b)•(c d)=ac+bd
ってやつです。これの右辺は足し算です。
つまり、逆に言えば足し算は内積に書き換えられるのです!
例えば、1+1=(1 1)•(1 1) です。
さて、ではこんなことをしてなんの意味があるのか?次の問題を使ってみていきましょう!
問
x,y>0のとき
x√2+y√3≦k√(x^2+y^2)•••☆
を満たすようなkの最小値を求めよ。
解1(一変数関数に帰着して微分しちゃおう作戦)
☆
⇔(x√2+y√3)/√(x^2+y^2)≦k
⇔(x/y√2+√3)/√{(x/y)^2+1)}≦k
x/y=tとおくとt>0で
☆
⇔(t√2+√3)/√(t^2+1)≦k
これの左辺=f(t)とおいて、f(t)の最大値を求めればkの最小値が求まる。
f'(t)=•••
あとは気合いで計算して、増減表書いて最大値を求めればOK。計算は省略。▪️
解2(三角関数に帰着しちゃおう作戦)
☆
⇔(x√2+y√3)/√(x^2+y^2)≦k
⇔√2•x/√(x^2+y^2)+√3y/√(x^2+y^2)
このとき、0<θ<π/2なるθを用いて
x/√(x^2+y^2)=cosθ、y/√(x^2+y^2)=sinθ
と書くことができる。
(∵x,y>0で、(x/√(x^2+y^2))^2+(y/√(x^2+y^2))^2=1を満たす。)
すると、
☆⇔√2cosθ+√3sinθ≦k
左辺=f(θ)とおいて、あとは左辺の最大値をがんばって計算して求めればよい。
計算は省略 ▪️
と、2つの解法をあげましたが、ある程度の計算量が求められます。
計算量があるということは時間がかかるということ。受験では命取りです。
では、今回のお話を用いた解答例を見てみましょう!
解3(足し算は内積だ作戦)
☆の左辺
=(√2 √3)•(x y)
=|(√2 √3)||(x y)|cosθ (θは(√2 √3)と(x y)の偏角)
=√5√(x^2+y^2)cosθ
≦√5√(x^2+y^2)
で、等号成立条件は(√2 √3)//(x y)のとき。
例えば(x y)=(√2 √3)のとき。
よって、kの最小値は√5 ▪️
最初の2つはそこそこな計算量を要求されますが、このように内積を使うとめちゃめちゃ簡単に解くことができます!ものの1,2分で解けてしまいます
足し算を幾何的にベクトルの内積と捉えるとこんないいことがあるのです。
幾何って面白いですよね!